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房総風景 ~ 安房勝山駅から勝山の町を歩く ~
2015-05-31 Sun 13:38
五月晴れの休日、再びJR内房線に乗って房総半島を南に下りました。

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この日の下車したのはJR安房勝山駅です。

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内房線もこの辺りまで下ってくると、駅のまわりに広がる風景はとてものどかな景観に変わってきます。プラットホームに降り立つと、駅舎の建っている町側とは反対の内陸の方向に田園風景が広がり、向かいの丘陵のふもとまで続く意外に奥深い景色が、線路脇の草むらの間から垣間見えるのです。

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安房勝山駅から歩いてまもなく、南房総の西海岸を南北に走る国道127号線が現われます。内房なぎさラインの愛称で知られる道路です。安房勝山駅のあるここ勝山地区は、鋸山の南に広がる安房郡鋸南町のなかでも南部の地域です。南房総の中心地である館山市街はここからさらに南に10数㎞ほど行った先にあります。

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国道127号線を南へ少し歩いて行くと、佐久間川という小川が流れていて、そこを渡った先の海沿いの方角に、お椀を伏せたような、こんもりと盛り上がった丘陵が見えてきます。その頂上には丘を覆った樹木からほんの少し頭を出す様に、お城の天守閣か櫓のように見える小さな瓦屋根がのぞいています。

今日の目的地はこの大黒山展望台です。南房総への行き帰り、安房勝山駅附近を通る度に内房線の車窓から見えるこの丸い丘陵と展望台の存在がとても気になっていたのです。


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大黒山展望台から
狭い展望台にはすでに先客の方がいて、洋上のスケッチを楽しんでいました。目の前の海は浦賀水道です。初夏の強い日差しに展望台からの景色も少し白んでいます。

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南側には勝山漁港が見下ろせます。漁港の背後に見える丘陵には中世の城郭、勝山城の遺構が残っています。一方、こちら側、大黒山の展望台は近年になって観光用に建てられた模擬天守風の建物で、実際の勝山城祉ではありません。しかし地形から見て海上を監視する物見台などが置かれていたことがあったかもしれません。勝山は房総を治めた戦国大名里見氏が水軍の拠点とした港の一つだったといわれています。

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里見氏が国替えによってこの地を去った後、勝山は江戸時代を通じて譜代の小大名の領地となり、勝山陣屋がおかれました。この間、勝山は捕鯨業(小型のツチ鯨漁)で大変に栄えたそうで、 

「いさなとる 安房の浜辺は魚篇に 京という字の都なるらん」
※いさな=鯨の古称   

クジラ漁で栄える安房(勝山)の浜は、都のような大変な賑わいである、という狂歌が作られるほどの繁栄ぶりが今に伝えられています。その後、鯨資源の枯渇や伝統的な漁法での限界もあって、明治時代に入り勝山でのクジラ漁は衰退します。

現在、小型捕鯨の拠点は南房総市の和田町へと移っていますが、勝山は房州の漁港の一つとして、鯛やヒラメ、シマアジ、ハマチなどの養殖漁業やアジやサバなどの定置網漁業が盛んです。また金目鯛の水揚げも豊富だということです。

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展望台の北側には浦賀水道に接する鋸山の山並みが遠望できます。


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洋上に霞むのは三浦半島の陸影。

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展望台からの景色をひとしきり楽しんだ後は、勝山の町を歩いてみました。

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町なかのお寺の一つ、大智庵。道路から続く細い小路が参道になっていて、周りを人家に囲まれて少し道沿いから引っ込んだところにあります。素朴な門構えです。

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言葉通り”お堂”、という感じの質素なつくりの本堂が印象的です。以前に訪れた飯山など信州北部のお寺ですと豪雪に備えた頑丈な柱などで建物を作っているのですが、こちらは簡素で、いかにも暖かい南の地方にある浜辺の寺院という感じがします。

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勝山漁港にも足を向けてみました。

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大黒山の展望台が真上に見上げられます。港の南北に丘が続いているので、明治以前の帆船の時代には風浪が避けられる天然の良港だったのでしょう。

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勝山漁協の市場

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勝山漁港では1日に2回、朝と夕方に、港へ戻った漁船からの水揚げがセリにかかるそうです。夕方の市場でのセリというのもちょっと珍しいという気がしますが、このおかげで漁港近くの魚屋さんでは夕飯のおかずに取れたての魚を買うことができるそうですよ。

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内房線から見る大黒山の夕景

自分の地元の房総半島も、じっくり歩いてみると今まで気がつかなかった景色や町の歴史を発見することができるようです。引き続き、もうしばらく房総の散歩を続けてみようと思います。


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